ダイエットのための手段として1 食事制限2 運動大きくは,この2つの手段に分けられます.では,どちらが効率的に痩せることができるのか科学的根拠に基づいて考えていきたいと思います.
まず,一般的に体重1kgの増減に関わるエネルギーは
約7000kcalであると言われています.
つまり,1kg痩せるためには
7000kcal分の食事を我慢するかもしくは,7000 kcal を消費する運動を行うかのどちらと言えるわけです.
では,運動によりどのくらいのエネルギーが消費可能か
考えてみましょう.
あるサイト1)で体重60kgの方が60分間のウォーキングで消費できるエネルギーを計算してみました.
歩行速度は時速4.0kmで計算しました.
日本人の成人男性の平均歩行速度は約時速3.5~4.5kmと言われています.
したがって,まずまずのスピードですが,
なんと,たったの189kcalしか消費できません.
では,ジョギングならもっと効果が期待できるのでは?ということで,
時速6.4km/hで60分間の軽めのジョギングで計算してみました.
ですが,これでも,たった315kcalしか消費できないのです.
つまり,1日60分間のジョギングを
連続で22日間続ければ1kg痩せるという計算になります.
お仕事,家事,育児で忙しい日本人にはなかなか厳しいことがお分かりいただけたと思います.
さらに,普段運動していない人が毎日1時間もジョギングを生活に取り入れることは相当な信念がないと出来ませんし三日坊主で終わってしまうことが容易に想像できます.
ここまで読んでいただけた方なら
ダイエットには運動は不向きであり,食事制限をする方が効率的であることがお分かりいただけたと思います.運動による体重減少効果は非常に小さいと言えます.
実際に,Rossら2)は,食事制限に運動を追加してもそれほど,運動による減量効果はかなり小さいものであったことを報告しています.
具体的には,運動による体重の減少量は食事制限による減量効果の約30%程度しかないという報告もあります3).食事によって摂取されるカロリーというには思いのほか大きいものです.
時間的,金銭的によっぽどお手軽で現実的な方法ですよね.
また,飲み会の後に締めのラーメンなんて最高ですが,ダイエットには天敵です.しょうゆラーメンは約500kcalもあります.
これを我慢すればウォーキング2時間半にも相当します!
間食を頻繁にしている方であればその間食を我慢するだけでかなりの摂取かカロリーを抑えることができるのではないでしょうか?
ただ一方で,エネルギー量を抑えた低エネルギー食のみによる減量の効果は6ヶ月が最大で,その後はリバウンドに転じる可能性が高いことも指摘されています5).
この理由は簡単で,長期間の食事制限を続けることが出来ない人が多いからです.
では,運動はせずに食事制限だけすれば良いのか?と考えられる方もおられると思いますが,運動にはダイエット以外の効果があります.
食事制限により減量した体力の維持や高血圧,糖尿病,高脂血症といった生活習慣病の予防に繋がることはもちろんですが,将来の認知症予防,食事制限によるストレスを紛らわせてくれる可能性があります.
したがって,可能なら運動も併用することが望ましいと言えます.
ここまでの内容を,以下の通りまとめてみます.
ダイエットには運動より食事制限が効率的です.
一般人が行うような簡単な運動による減量効果は乏しいです.
間食や夜食を控えるだけで,減量が期待できます.
しかし,運動には,食事制限により減量した体重を維持する効果や将来の生活習慣病予防など減量以外のメリットがたくさんあります.したがって,やはり理想は食事制限にプラスアルファで運動を取り入れることが最適と言えます!
引用文献
1) https://keisan.casio.jp/exec/system/1567491116
2) Ross R, et al: Exercise alone is an effective strategy for reducing obesity and related comorbidities .ExercSport Sci Rev 2000;28:165-170
3) パワーズ運動生理学 体力と競技力向上のための理論と応用.メディカルサイエンスインターナショナルp456
4) 摂取カロリー早見表 https://www.tanita.co.jp/health/detail/206
5) Josen M D,et al: 2013 AHA/ACC/TOS guideline for the management of overweight and obesity in adults: a report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines and The Obesity Society. J Am Coll Cardiol2014;63:2985-3023
ライター:理学療法士くん/理学療法士
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