「食品メーカーは離職率が高いって本当?」「入社しても長く働けるのか不安」という声は、就活生や転職希望者からよく聞かれます。
結論からいえば、公的統計で見るかぎり、食品メーカーが属する製造業の離職率は、産業全体の平均より低い水準です。ただし、企業や職種、工場の立地によって差が大きく、「食品メーカーだから安心」とは言い切れません。
この記事では、厚生労働省の統計をもとに食品メーカー(製造業)の離職率の実態を整理したうえで、長く働ける会社を見極めるための具体的なチェックポイントを解説します。
この記事でわかること
- 製造業の離職率は産業平均と比べてどうか(公的統計)
- 新卒3年以内の離職率と、企業規模による差
- 食品メーカーで離職につながりやすい要因
- 長く働ける会社を見極める7つのポイント
食品メーカー(製造業)の離職率は高い?公的統計で確認
厚生労働省「令和7年雇用動向調査」によると、製造業の離職率は9.8%で、産業計の13.7%を下回っています〔出典1〕。
| 産業 | 入職率 | 離職率 |
|---|---|---|
| 産業計 | 14.7% | 13.7% |
| 製造業 | 9.6% | 9.8% |
| 宿泊業,飲食サービス業(最も高い) | — | 23.7% |
| 複合サービス事業(最も低い) | — | 8.6% |
※厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」より。2026年10月3日確認〔出典1〕。
この統計は「製造業」全体の数値で、食品メーカーだけを切り出したものではありません。ただし、食料品製造業は製造業の中で最も従業者数が多い産業(製造業全体の14.5%、2023年実績)であり〔出典2〕、製造業の平均に少なからず影響を与えている業種といえます。
同じ「食」に関わる産業でも、宿泊業・飲食サービス業の離職率は23.7%と最も高くなっており、食品メーカーは、外食や小売と比べると定着しやすい業界と考えられます。
新卒3年以内の離職率と企業規模の影響
厚生労働省が2025年10月に公表した「新規学卒就職者の離職状況」(令和4年3月卒業者)によると、大学卒の就職後3年以内の離職率は33.8%でした〔出典3〕。およそ3人に1人が3年以内に最初の会社を離れている計算です。
同じ調査では、事業所の規模が小さいほど離職率が高くなる傾向が示されており、企業規模は定着率に大きく影響します〔出典3〕。食品メーカーは大手から従業員数十人の中小企業まで幅が広いため、「食品メーカーかどうか」よりも「どの規模・どの会社か」で定着のしやすさが変わります。
食品メーカーで離職につながりやすい要因
離職率が比較的低い業界とはいえ、食品メーカーならではの離職要因もあります。
- 工場の立地と転勤:工場は地方や郊外にあることが多く、勤務地や転勤が生活に合わないケース
- 繁忙期の負荷:厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、食品の種類によっては特定の時期に生産が集中し、その時期は残業が増えることがある〔出典4〕
- 交代制勤務:製造部門では早朝・夜間の交代制があり、生活リズムが合わない人もいる
- 職種のミスマッチ:「商品開発がしたくて入ったが営業に配属された」など、希望職種と実際の配属のずれ
- 給与水準:企業規模や商品分野によって差があり、同じ食品メーカーでも待遇の幅が大きい
- 人間関係・職場環境:工場や営業所など拠点ごとに環境が異なり、本社と現場で雰囲気が違うこともある
これらは「食品メーカー全体の問題」というより、「会社・拠点・職種ごとの違い」として表れます。だからこそ、入社前の見極めが重要になります。
長く働ける食品メーカーを見極める7つのポイント
1. 平均勤続年数と平均年齢を確認する
上場企業であれば、有価証券報告書に従業員数、平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与が記載されています。平均勤続年数が長く、平均年齢が極端に偏っていない企業は、定着しやすい環境である可能性が高いといえます。
2. 新卒の3年後定着率を聞く
就職四季報などの就活情報誌や、企業の採用ページ、説明会で「新卒入社3年後の定着率」を確認します。公表していない企業には、説明会やOB・OG訪問で直接聞いてみましょう。
3. 年間休日と残業時間の実態を見る
年間休日数、月平均残業時間、有給休暇取得率は、求人票や採用ページに記載されていることが多い指標です。見るべきポイントは、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶ 食品メーカーのホワイト企業の探し方|年間休日・残業・福利厚生の見るべきポイント
4. 工場の立地と転勤の有無を確認する
本社・研究所・工場・営業所がどこにあるか、総合職の転勤がどのくらいの頻度であるかは、入社後の生活に直結します。「勤務地限定」の採用コースがあるかどうかも確認しましょう。
5. 職種別採用か、総合職採用かを確認する
希望する職種で働けるかどうかは、離職の大きな要因になります。職種別採用であれば配属のミスマッチは起きにくく、総合職採用の場合は配属の決まり方やジョブローテーションの方針を確認しておくことが大切です。
6. 口コミは「傾向」として読む
転職口コミサイトの評価は、退職した人の意見に偏りやすい一方で、繁忙期の実態や拠点ごとの雰囲気を知る手がかりにもなります。個別の評価を鵜呑みにせず、複数の情報源で同じ指摘が出ているかを確認しましょう。
7. 自分の適性と照らし合わせる
どれだけ条件の良い会社でも、仕事内容が自分に合わなければ長くは続きません。食品メーカーに向いている人の特徴は、こちらの記事で整理しています。
▶ 食品メーカーに向いている人は?仕事内容から見る適性と向いていない人
まとめ
- 製造業の離職率は9.8%で、産業計の13.7%より低い(厚生労働省 令和7年雇用動向調査)。外食(23.7%)と比べると、食品メーカーは定着しやすい業界
- 大卒の3年以内離職率は33.8%(令和4年3月卒)で、企業規模が小さいほど離職率が高い傾向
- 食品メーカーの離職要因は、工場の立地・転勤、繁忙期の負荷、交代制勤務、職種のミスマッチ、給与の幅など「会社・拠点・職種ごとの違い」
- 平均勤続年数、3年後定着率、年間休日・残業、立地・転勤、採用方式、口コミ、自分の適性の7点で見極める
「食品メーカーは離職率が高いのか」という問いに対する答えは、「業界としては低めだが、会社によって差が大きい」です。統計で業界の傾向をつかんだうえで、志望する会社ごとに具体的な数字と働き方を確かめることが、長く働ける職場選びにつながります。
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出典
- 厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/26-2/dl/gaikyou.pdf(2026年10月3日確認)
- 経済産業省「2024年経済構造実態調査 製造業事業所調査 結果の要約」 https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kkj/pdf/seizo_youyaku2024.pdf(2026年10月3日確認)
- 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」(2025年10月) https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00010.html(2026年10月3日確認)
- 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「食品技術者」 https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/288(2026年10月3日確認)

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